憧れの「うなぎの寝床」を訪れて
先日、福岡を訪れる機会があり、以前から一度は足を運びたいと思っていた「地域文化商社 うなぎの寝床」へ行ってきました。
「うなぎの寝床」の店舗は、伝統的な「八女福島の町並み保存地区」の一角にあり、江戸時代から続く商家の風情をそのまま残した趣深い場所です。店内に一歩足を踏み入れると、受け継がれてきた日本の美意識と職人の技が、静かに語りかけてくるようで背筋が伸びる思いがしました。
古民家を再利用したこの店舗には、日本各地や地元の職人による手仕事の工芸品や衣料が豊富に揃っています。特にテキスタイルは、伝統技術と現代的なデザインが見事にマッチしており、「かわいいな」と思わず手に取りたくなるものばかり。落ち着いた雰囲気の中で、どこか懐かしく心安らぐ時間を過ごせたのは、本当に贅沢なひとときでした。
「物を買う」という行為を「文化との出会い」と捉えるって、素敵ですよね。私自身、工芸品を目にすると、ついその作り方や素材、どれほどの手間がかかっているのかといった実務的なディティールに目が行きがちです。
しかし、なぜこの土地で生まれたのか、なぜ必要とされたのか、先人たちが限られた条件の中で何を考えていたのか。そうした大きな流れに思いを馳せることで、より深い愛着や敬意が湧いてくるのだと感じました。
また、どの文化を未来に残していくかは、地域の人々だけでなく、私たち消費者も共に考えていくべきだという提案や、残すことが難しい文化は、写真や映像として記録・記憶に残していくという姿勢も素晴らしいと感じます。地域の人々にとっても、外部の視点を受け入れ、文化と風景をつなぐ循環を生み出すことは、次のステップを考える上で重要だという点にも深く共感しました。
私も同じような事業を営んでいますが、多忙を理由になかなか向き合わずに過ごしてきたことを反省させられました。人見知りもあって、つい様々な方との対話を避けてしまいがちでしたが、もっと積極的に交流し、できれば一緒に仕事をしたいと強く思った日でもありました。
文化を守り伝えることの大切さや、そのために自分ができることについて深く考えるきっかけになった訪問。これからも多くの方々と対話を重ね、新たな発見や学びを得ていきたいと思わせる、価値あるお買い物でした。