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カート

カートが空です

夜のお散歩

夜のお散歩

事務所の移転が決まり、せっせと新事務所に荷物を搬入している頃の出来事だ。

私がこの物件を借りる前は、入居者はいたようだがシャッターがずっと降りたままだったという。煌々と明かりをつけて搬入作業をしていると、道行く人たちが興味ぶかそうにこちらを見ながら通り過ぎてゆく。隣が可愛いケーキ屋さんなので、何か新しいお店ができるのかという期待感なのだろう。ただの平凡な事務所なのに期待させて申し訳ないなぁ。そんな気持ちになった。 

ある日の夜、事務所の本棚の整理を終えて休憩していると、可愛いトートバックを肩にかけた老夫婦が笑顔で声をかけてきた。

「ここは本屋さんになるの?」

事務所兼倉庫になることを伝えると、

「こんなに本があるんだから本屋さんもやったらいいじゃない」

と言って、二人は笑顔で手を振りながら去っていった。

こんなふうに道行く人とお話できるなんて、新しい事務所も自分も、なんだか街に受け入れられたようで嬉しかった。 

その後も、可愛いトートバックを肩にかけたこの老夫婦が、事務所の前を散歩しているのをよく見かけるようになった。いつか本当に本屋になったら、1番目のお客さんになってもらおうと勝手に決めている。あの時の言葉がきっかけだと伝えたら驚くだろうな。そんなことを空想するだけで楽しい気持ちになるのだ。

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日誌
ミントグリーン

ミントグリーン

真夏の西日が差す頃に、やにわにスタッフの久保田さんが事務所を飛び出し外に駆けていった。急なことにびっくりして声もかけられず、パソコンのモニター越しに呆然と眺めることしかできなかったが、ミントグリーンのバケツが事務所の前に転がっているのを拾いに行ったようにみえた。

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日誌
聖地巡礼 『美栄』

聖地巡礼 『美栄』

首里の伝統を受け継ぐ料理を出す数少ない店「美栄」。名店中の名店で、県産食材と工芸品に携わる私にとってまさに憧れのお店だ。琉球漆器の「東道盆(トゥンダーブン)」に盛られた琉球料理、順に運ばれてくる料理は、どれも洗練され気品に満ち溢れた素晴らしいものばかりである。

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