本当は、もっと南から
沖縄の夏を彩る伝統芸能エイサーを知っていますか?
夏の訪れと共に、沖縄の夜空を彩るのは、エネルギッシュなリズムと躍動感溢れるエイサーです。沖縄独特の風習であり、旧盆の日には道ジュネーといって地域内を踊りながら練り歩きます。集落・地域ごとの青年会がそれぞれエイサーの型を持っているので、踊りもそれぞれに違っていて、見ているだけで盛り上がる夏の風物詩です。
エイサーは仏典を唱えながら踊る念仏踊りから発展したという説があるものの、その起源も謎に包まれた魅力があります。
最近では沖縄以外でも、全国の伝統文化を学ぶという取り組みの一環で学校行事の文化祭や体育祭などでエイサーを踊る学校が出てきました。そういう学校への販売用として、先日、首都圏の楽器店から、パーランクーを用意できないですかとお問い合わせをいただきました。
1学年分のまとまった数量の手配となります。苦労が予想されたので、お断りしようかと悩んでいたところ、ある楽器屋さんを紹介していただき、お伺いすることに。
そのお店は楽器屋には見えない外観ですが、店内には三線に使うニシキヘビの皮・棹などの部材が所狭しと並べてあります。どうやら、部材を自ら選んで、職人さんに組み立ててもらうというオーダーメイドスタイルのようで、私も部材を眺めているだけで弾けもしないのに三線を注文したくなってしまいました。
そしてレジ横に座る女性にご挨拶。オーダーを考えているものの数量が数量ですから、恐る恐る用件を伝えると、彼女が店の奥に「どんなね」と声をかけました。すると店の奥から「台風がなければ届くから多分大丈夫よ」との返事が聞こえてきました。水牛の革を使うので、県内ではあまり作っていないらしく、それが東南アジアから近日到着予定とのこと。運が良かったと胸をなでおろしながら、沖縄の三線の材料が、沖縄よりもっと南の地域からやってくることに驚いてしまいました。
沖縄の伝統芸能であるエイサーの魅力を全国に広める一助となったこと。そして何より、昔から続くアジアとの深い繋がりを実感して興奮しきり。
沖縄の夏の夜を彩るエイサーと、それを支える人々の仕事を知ることができ、思い出深いお取引となりました。