うまい醤油のある家さ

是枝裕和監督の映画「万引き家族」をご覧になったことはありますか?血の繋がりはなくとも、互いに寄り添い、家族のような絆を育む孤独な人々の物語です。その深い人間ドラマは、私の心に強く強く残っています。
先日、養育里親同士の交流会に参加してきました。私は里親登録をしてから4年が経ちますが、実子がまだ幼いため、なかなか里子を受け入れる環境が整わず、継続するかどうか悩んでいました。交流会は、その相談も兼ねての参加でした。
基調講演では、近年、さまざまな取り組みがなされているにもかかわらず、児童虐待やネグレクトが増加している現状が示されました。一人でも多くの子どもたちが安心して暮らせる環境をつくらなければと、胸が締めつけられました。
交流会では、4人の里子を受け入れている、ご夫婦とお話しする機会がありました。彼らは、父親から虐待を受けていた中学生と小学生の兄弟、そして別の家庭から小学生と未就学児の姉弟を受け入れ数年家族として育てています。最年長の兄は18歳を迎え、今後の選択を迫られる時期なのですが、兄としての使命感から弟を守り続けたいと願っており、ご夫婦も彼らを引き離さずに家族として受け入れ、19歳になっても一緒に暮らすつもりだとおっしゃっていました。その深い愛情と献身的な姿勢に、深い感動を覚え、血の繋がり以上に大切なものがあるのだと実感します。
子どもたちにとって安定した環境と愛情がどれほど重要か。私は短期里親として、週末や夏休みなどに子どもたちを一時的に預かっていますが、長期で里子を育てている方々の、日々の生活の中で困難に直面しながらも、子どもたちの笑顔のために努力を惜しまない姿勢に頭が下がる思いでした。
交流会の帰り道、そのご家族6人が公園で楽しそうに遊んでいる姿を偶然目にしました。互いに思いやり、笑顔で過ごす様子は本当に素敵で、まさに「家族」の形は一つではないのだと、心が温かくなりました。
このような養育里親という制度が、もっと多くの人に知られ、広がっていけば、社会はきっとより良い方向へ進むのではないかと思います。子どもたちにとって安心できる居場所が増えることは、社会全体の幸福につながるはずです。
私自身、現時点では里子を長期で受け入れる環境ではありませんが、可能な範囲で協力できるよう、継続することを決意しました。短期的なサポートでも、子どもたちにとっては必要な時間になるはずです。地域社会に笑顔が増えることを心から願っています。
「万引き家族」のように、血縁だけが家族を定義するわけではなく。心で繋がる絆が、人々を支え、未来を創っていくのだと思います。これからも、自分にできる範囲で子どもたちの明るい未来に貢献していきたいと強く願っています。