かかりつけの本屋が欲しい!

久しぶりに、妻の実家である福岡・久留米に行ってきました。コロナ禍や母の病気などでなかなか足を運べず、3年ぶりの訪問です。妻から「福岡で行きたい場所はある?」と尋ねられて調べていると、「地域をつなぐ文化の発信地を目指して」というコンセプトの「MINOU BOOKS & CAFE」が目に留まりました。
築50年ほどの魚屋をリノベーションした本屋さんなのだそうです。さっそく訪れてみると、コンクリート打ちっぱなしの壁に大きな窓が印象的で、天井近くの小窓から差し込む柔らかな陽光が店内を優しく照らし、時間がゆっくりと流れているような心地よさに包まれていました。
「衣食住」をテーマにセレクトされた本や哲学、アートのジャンルの書籍が豊富で、そのほかにZINE(個人で制作された雑誌)なども所狭しと並んでいます。普段はなかなか手に取る機会のない一冊にも出会え、知的好奇心が刺激されて止まりません。お店全体から感じられるセンスの良さに、ただただ感心するばかりです。
「寄り添いすぎないことを大切に」という言葉が、このお店の店づくりや選書に生きています。経済合理性という風潮や流行に流されない姿勢が、書店を単なる本を買う場所ではなく、今の時代を、自身と地域、そして世界とのつながりを深める場にしているのだなと感じました。近所にこの店があったら、きっと足繁く通ってしまうだろうな。かかりつけ医ならぬ、信頼のおける「かかりつけの本屋」があると人生が好転する気がします。
読んだ記事によると、オーナーはアメリカの西海岸のブックストアを巡り、ブックカルチャー・スタイルを感じてきたとのこと。「寄り添いすぎない」という距離感は、地域への想いや深いつながり、そして世界を見つめる広い視野があってこそ生まれるものだと思います。
スタッフの方と会計時に少しお話しすると、「先日、しれっと9周年を迎えた」とのこと。特に大きなイベントをするでもなく、と笑っておっしゃっていました。その穏やかな姿勢に共感を覚えます。気づけば私も起業して6年、しっとりと日々が過ぎていくのを感じています。
忙しい日常から少し離れて、福岡で過ごした時間。新たな場所を訪れ、人々と触れ合い、地域の魅力を感じてリフレッシュできました。皆さんの情熱や温かさに触れ、私もまた頑張ろうと思える小旅行となりました。
福岡、うきは市に行かれる際は、「MINOU BOOKS & CAFE」にぜひ立ち寄ってみてください。きっと心に響く素敵な出会いと時間があるはずです。