土の種への訪問

うるま市の住宅地に佇む「土の種」の工房は、訪れる者を独特の世界観で迎え入れてくれます。玄関をくぐると広がる赤土の土間が印象的で、素朴で温かな空気が漂います。奥には陶器を焼く窯や作業スペースがあり、職人の手仕事の息遣いが感じられる空間です。階段を上がると小さなギャラリーのようなスペースが広がり、完成した作品の数々が並んでいます。
1年ぶりに訪れたこの工房は、以前と変わらず、どこか懐かしさと新しさが共存する場所でした。以前伺った際には「個展を数個抱えていて、新作づくりの時間が読めない。次回いつ納品できるか分からない」とおっしゃっていましたが、今回はその時の試作品から新しくレギュラー入りした作品が所狭しと並び、賑やかな活気に満ちていました。
注文品を受け取りつつ、「他にも気になるものがあれば、どうぞ手に取って選んでください」と声をかけていただき、思わず心が躍ります。一つひとつ手に取り、「これはお茶碗ですか? それとも鉢でしょうか?」と尋ねると、「使う人が好きなように使えばいいんですよ」とにこやかに返されます。自由な発想を尊ぶその言葉に、器との対話の楽しさを再認識しました。
特に気に入ったフリーカップを手に取ると、「ちょうど窯出ししたばかりで、私もまだしっかり見ていないんです。でも、この色、とてもいいですよね」と、工房の方もスマートフォンで写真を撮り始めます。作品に対する愛情が、自然な会話の中にしみじみと伝わってきます。
工房の平良さんとその娘さんが、「まだ値段が決まっていないんですよね。いくらにしようか?」と相談する様子がほほえましく、家族で工房を守り育てている日常が垣間見えます。
会計を待つ間、お母様の平良さんと少しだけお話をしました。「以前は畑しかなかったこの土地も、今では住宅が増え、風景がずいぶんと変わりました」と語る平良さん。しかし、窓から見える風景には、今もなお奥行きのある自然の美しさが広がっています。
沖縄県うるま市は、県外からの移住者が増え、新しい文化や芸術の息吹が感じられるエリアです。シマダカラ芸術祭やN高等学校など、ユニークな取り組みが根付き、クリエイティブなエネルギーが満ちています。焼き物やガラス工房も点在して、地域全体が活気にあふれています。風景も少しずつ変わっていくことでしょう。
そんな中で、「土の種」の工房は、変わりゆく時代の中でも、手仕事の温もりと自由な発想を大切にし続ける、静かで力強い存在です。ここで選んだ器が、これからの暮らしにどんな彩りを添えてくれるのか、いちはやく皆さんに届けられるように掲載を頑張りたいと思います。

