
間違えちゃった
皆さん、最近お気に入りの器を買おうとして、「1年待ち」なんて言われたことありませんか?
県内の工房との取引が難しいことをご存知でしょうか?まるで人気レストランの予約のように1年、2年待ちは当たり前。手作りの魅力ゆえの生産量の限界や、オンライン販売の普及で全国から注文が増えて追いつかないなど、理由はさまざま。そのような状況ですから、私たちのように後発で店舗のないお店は、怪しがられて、お取り引きのチャンスをなかなかもらえないのも現状です。
そんな中、Instagram で見つけた若手の作家さんに、思い切って商談のお願いメッセージを送ってみました。大体は無視されるか、「余裕できたらね」とはぐらかされるのが常ですので、正直、返事が来るとは思っていませんでしたが、驚いたことに快く打ち合わせの話に応じてくださったのです。
谷野さんは、沖縄陶芸界の重鎮である島袋常秀氏に師事して昨年独立したばかり。現在は知人の窯を借りて作陶しながら自分の工房を構える場所を探しているそうです。
そして彼女にお会いしましたが、その若さとは裏腹に、物腰の柔らかさと芯の強さが感じられます。経歴を聞いて、思わず「あぁ、わかる」と頷いてしまいました。大学で陶芸を学び、一度は普通に就職。しかし、どこか違和感を感じて退職したそうです。「間違えちゃった」とはご本人の弁。そして、再び陶芸の道へ。
人生、一度や二度の回り道は当たり前。むしろ、そんな経験が作品に深みを与えるのかもしれません。
彼女のような新しい才能との出会いは、沖縄に、そして皆様の暮らしに、新しい風を運んでくれることでしょう。変化の中にこそ、新しい可能性が眠っていますよね。
まだ取引先は多くないそうですが、末永くお付き合いできたらいいなと思っております。窯出しの連絡がこないという不安も抱えつつ、年に1回でも取引できたらいいなと、密かに期待しています。